構成文化財：ニッカウヰスキー（株）門司工場倉庫（旧大里製粉所　倉庫）

～時の停車場、近代化の記憶～

No-16: ニッカウヰスキー（株）門司工場倉庫（旧大里製粉所　倉庫）

■音声解説

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■ Commentary

　神戸に本社を置く鈴木商店は、国産の製粉の需要が増えたことを背景に明治43(1910)年に大里への製粉会社進出計画を発表。翌年にかけて旧大里製粉所倉庫（現ニッカウヰスキー（株）門司工場倉庫）を含む、大里製粉所の工場群が建てられました。
　そもそも製粉業は、18世紀末からイギリスで起こった産業革命で機械化されました。これまで小麦粉を挽いていた石臼は、蒸気機関を活用した鋼鉄製のロールミルの登場により消えていきます。幕末の日本にも輸入されていた「米利堅（メリケン）粉」と呼ばれる小麦粉は、アメリカの近代化された機械製粉工場で作られたものです。
　日本製の小麦粉の需要が高まったのは、明治32(1899)年に実施された関税定率法がきっかけでした。関税のかかる輸入米利堅粉との競争は価格の面でも有利となり、国内の機械製粉企業が増える要因となったのです。そのような時代背景をふまえ、鈴木商店は大里に工場240坪、製品倉庫500坪、原料倉庫2000坪の製粉会社を建設すると決定しました。明治44(1911)年に操業が開始されています。
　大正4（1915）年、大里製粉所は火災に見舞われます。工場1棟、倉庫2棟が全焼する大火事でしたが、復旧を急いだことで翌年再開することができました。この時、新しくつくられた倉庫が、今もニッカウヰスキーの倉庫として使われ続けています。
　大正8(1919)年、大里製粉所と日本製粉の合併が決定します。日本製粉は同時に東洋製粉とも合併を実施。日清製粉と日本の製粉業界を二分する一大製粉企業となりました。
　昭和2（1927）年の金融恐慌や鈴木商店の破綻などで経営に影響を受けますが、三井物産の支援によって持ちこたえます。平成9（1997）年、日本製粉が進める九州地区の製粉工場の集約化によって、門司工場は閉鎖され、大里で稼働した88年間の歴史に幕を閉じました。
　閉鎖後、不要になった工場棟や倉庫は次々と解体されていきましたが、ニッカウヰスキーの所有物となった倉庫は現存。赤い煉瓦造りの平屋建てで、敷地の周りには季節の花が咲き建物を彩っています。今ある倉庫群は国道199号線沿いにあり、煉瓦の壁面が並ぶ様子から当時の規模の大きさが想像できます。
■ Information

住所：福岡県北九州市門司区大里元町２-１
電話番号：
駐車場：なし
営業時間 :
休館日 :
料金 :
その他・お知らせ：外観のみ見学可
URL:
■Category

分類：構成文化財
ジャンル：ストーリー3
エリア：門司・小倉エリア

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